福山大学漢方研究会2017 ー明日の治療に役立つ分かり易い漢方ー

2017.05.15

内容

●5月のテーマ「漢方医学による便秘の治療(大黄剤)」

日時

2017年5月12日

会場

福山大学 宮地茂記念館 9F

担当

福山大学薬学部非常勤講師                小林 宏先生

漢方医学からみた病気の発症(大黄剤)

今回は大黄剤について分かり易く解説して下さった。

大黄は「清熱」=を冷ますための生薬;「裏」(消化管)に熱がこもった状態の時に使われる

大黄処方すべてに共通  体の中に邪が入っていないので食欲正常・血色OK・便が固い方に処方

 

大黄の性味:苦寒(胃腸を冷やす) 消化管に過剰にこもったエネルギーをとる

・大黄の連日使用は消化管の機能を下げてしまうので×

・排便があり、正常便になったら一旦中止する

大黄甘草湯で痛みを伴ったり、排便のない方 ➡ 調胃承気湯 = 大黄甘草湯+芒硝≒酸化マグネシウム。

                               こちらも、排便あれば中止

長期連用の可能性ある方・・・麻子仁丸潤腸湯

「潤腸湯」(じゅんちょうとう)

構成生薬は、大黄・枳実・厚朴・麻子仁・杏仁・桃仁・当帰・地黄・黄芩・甘草

青字部分「麻子仁丸」(ましにんがん)と共通。(麻子仁丸は青字の生薬にあと芍薬が入る。)

   麻子仁丸でもお腹が痛くなる方に、どうやって作用を和らげたら良いか。
   ➡ 薬味を増やす。『仁』タネ
   油分が入ると、滑りが良くなる。当帰・地黄が入ることで、少しやさしくなる。
   高齢者の方で、便が固い方は、大黄剤を飲むより浣腸の方が良い。(便が柔らかい方には、出さない)
   大黄剤を飲むと、顔色が青白くなり、食べれなくなるため。