内容
● 経口抗血栓薬に関する情報
● 経口抗血栓薬のQ&A
● 在宅訪問薬剤管理指導について
日時
2015年3月4日
担当
沢井製薬 岡田民生氏
経口血栓薬に関する情報
抗血栓薬はいわゆる予防薬であり症状がないときに服用します。
経口投与で用いる抗血栓薬には、抗血小板薬と抗凝固薬があります。
日本で承認されている主な経口抗血栓薬
抗血栓小板薬 : 血小板の働きを阻害する薬剤 | 承認時期 |
ジピリダモール(PDE5 阻害) | 1960年 |
チクロピジン塩酸塩(ADP受容体阻害) | 1981年 |
リマプロスト アルファデクス(cAMP増加) | 1988年 |
シロスタゾール(PDE3 阻害) | 1988年 |
イコサペント酸エチル(TXA3の生成) | 1990年 |
べラプロストナトリウム(cAMP増加) | 1992年 |
サルポグレラート(5・HT2 阻害) | 1993年 |
アスピリン(COX-1 阻害) | 2000年 |
クロピドグレル硫酸塩(ADP受容体 阻害) | 2006年 |
抗凝固薬 : 血液凝固因子の働きを阻害する薬剤 | 承認時期 |
ワルファリンカリウム(ビタミンK依存性血液凝固因子の合成 阻害) | 1962年 |
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(トロンビン 阻害) | 2011年 |
エドキサバントシル酸塩(Xa因子 阻害) | 2011年 |
リバーロキサバン(Xa因子 阻害) | 2012年 |
アピキサバン(Xa因子 阻害) | 2012年 |
※「血栓・塞栓形成の抑制」に対する承認取得、( )内 : 主な作用順序
ADP:アデノシン二リン酸
cAMP:サイクリックアデノシンーリン酸
COX:シクロオキシゲナーゼ
PDE:ホスホジエステラーゼ
TX:トロンボキサン
抗血小板薬と抗凝固薬が処方される代表的な疾患について作用の違いは?
脳梗塞を例にとると、脳梗塞には血栓によるものと寒栓によるものがあります。血栓によるアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞の再発予防には抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなど)が、心原性脳塞栓症の再発予防には抗凝固薬(ワルファリンなど)が推奨されます。
脳梗塞と抗血栓薬について
脳梗塞治療薬の作用点について
抗血栓薬を服用時に注意すべき症状等を教えてください。
外見からわかる出血だけでなく、内出血のある患者様や胃潰傷等の消化器疾患の患者様にも注意が必要です。
出血傾向の患者さんに現れる症状
抗血小板薬の併用と消化管出血リスク(海外データ)
抜歯や手術時の抗血栓薬の休薬期間について教えてください
服用している抗血栓薬の種類や併用薬、血栓塞栓症リスクによって異なります。
小手術および大手術における抗血栓薬の休薬の目安
一般名 | 小手術(抜歯等) | 大手術(開腹手術等) | |
抗血小板薬 | アスピリン | 内服継続 | 7日前 |
シロスタゾール | 3日前 | ||
チクロピジン塩酸塩 | 10日~14日前 | ||
クロピドグレル硫酸塩 | 14日前 | ||
イコサペント酸エチル | 10日 | ||
ペラプロストナトリウム | 1日 | ||
サルポグレラート | 1~2日 | ||
抗凝固薬 | ワルファリンカリウム | 内服継続が望ましい | 3~5日前中止、ヘパリンへ変更 |
ダビガランエテキシラートメタンスルホン硫酸 | 24時間以上前 | 2日以上前(ヘパリン等代替療法法を考慮) | |
リバーロキサバン | 24時間以上前 | ||
アピキサバン | 2~4日前(ヘパリン等代替療法を考慮) |
脳梗塞の既住のある患者様の再発予防の為にどのような取り組みが必要ですか?
脳梗塞は再発率が高く、また予後不良の傾向がある為、再発を予防することは極めて重要です。再発の予防には基礎疾患の管理や生活習慣の改善、薬物療法を継続して行っていくことが大切です。
抗血栓薬を服用している患者様の生活習慣病の管理目標値を教えてください。
抗血栓薬を服用する患者様では高血圧、脂質異常症、糖尿病の管理が必要とされています。
高血圧・脂質異常症・糖尿病の管理目標値について
血液凝固検査にはどのようなものがありますか?
血液凝固検査には大きく分けて、一次止血と二次止血に関する検査があります。抗血栓薬の薬効評価には一般的に二次止血に関する検査APTT(活性化部分トロンボブラスチン時間)と、PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)が用いられます。